免疫チェックポイント阻害薬による続発性副腎不全

日本医師会雑誌 2026年8月号より

内分泌障害は頻度が高く、下垂体機能低下症、甲状腺機能異常症、1型糖尿病の発症がよく知られている。内分泌障害の原因は、内分泌腺の炎症による機能低下と考えられる。特に、下垂体機能低下症は続発性副腎不全を来し、副腎クリーゼを契機に重篤な転機を招くことがあるため注意が必要である。

下垂体機能低下症の発症率は、抗PD-(L)1抗体の使用で3-6%、抗CTLAー4抗体の使用で20%以上ときわめて高い。症状は倦怠感や食欲不振など、非特異的であることから、がんや化学療法によるものと誤認される可能性があるため注意を要する。低ナトリウム血症や好酸球増多が診断の契機となる。診断には副腎皮質刺激ホルモンACTHとコルチゾールの同時測定が必須であるが、検査結果が遅れる場合は臨床的に副腎不全と診断して速やかに治療を開始する。

治療は生理用のヒドロコルチゾンを補充することが原則であり、高用量のステロイドは不要である。副腎クリーゼの際は、高用量のヒドロコルチゾンを投与する。原発性または甲状腺刺激ホルモンTSH低下症による続発性の甲状腺機能低下症を合併する場合は、必ず甲状腺ホルモンよりヒドロコルチゾンの補充を先行させる。ほとんどの患者でACTH分泌低下症は改善せず、永続的な治療を要する。一方、ほかの重症の副作用とは異なり、症状が安定すればICT治療の再開は可能である。

がん治療において重要な点として、下垂体機能低下症を発症した患者は非発症患者と比較して全生存期間の延長が認められる。すなわち、ホルモン補充療法によって適切に管理すれば下垂体の副作用を発症した患者の予後はむしろ良好であるため、適切な対応がきわめて重要といえる。さらに高リスク因子として下垂体を認識する抗下垂体抗体の存在や特定のヒト白血球抗原が報告されており、今後のさらなる研究が期待される。