Wellens症候群

以下上記引用

H.J.J.Wellensらは1982年に冠動脈前下行枝近位部狭窄に関連する前胸部誘導でのT派変化を報告している。(Am Heart J. 1982;103:4:730-6.) これはWellens症候群と呼ばれるもので、その心電図には2つのパターンがあり、よくあるタイプ(76%)はV2,V3での深い陰性T波であるが、今回のようにT派の後半部分が陰転し二相性になるタイプ(24%)も存在する。

内科の治療により症状が改善しても、患者の75%は数日内に前壁梗塞となる。重要なことは、Wellensらが指摘したT波変化は胸痛の無い時に観察される点である。胸痛時には心電図が正常化するか、もしくはST部分に上昇を認める。心筋逸脱酵素は正常か軽度の上昇が多い。Wellens症候群の患者にトレッドミル運動負荷試験を行うとVT(心室頻拍)を起こす可能性が高いので禁忌である。

コメント:症例提示の心電図所見は、わずかな変化のみ。 病歴が頼りだが、「前かがみになると前胸部痛が出る」というものでわかりにくい。