多尿をきたす病態
・多尿の種類は①浸透圧利尿②水利尿
・浸透圧利尿では尿浸透圧が250mOsm/kg/H2O以上となる。
・慢性腎不全による多尿
慢性腎不全でも、腎不全の程度が軽いうちから、尿の濃度や量を調節する機能が弱くなることがあります。
腎機能が正常であれば、夜間は尿が濃縮されて尿量が減るので、トイレに起きることはありません。ところが、腎不全では夜間でも尿が濃縮されずに尿量が増えるため、何度もトイレに置き、しかも1回の尿量が多い、「多尿による夜間頻尿」を認めるようになります。
・水利尿による多尿
水利尿は、集合管における水分の再吸収障害です。尿浸透圧は150mOsm/kg H2O以下を示します。
代表的疾患は尿崩症です。尿崩症とは、抗利尿ホルモン(バゾプレッシン)の作用が障害される結果、口渇、多飲、多尿、脱水などを呈する疾患です。バゾプレッシンは、下垂体後葉から分泌され、腎臓の尿細管に存在するV2受容体に結合して、水の再吸収を促進します。このシステムに不具合が生じると、水の再吸収ができず、水がどんどん尿に漏れ出します。(=水利尿)。さらに、脱水のため口渇中枢が刺激され、多飲をきたします。
腎性尿崩症は、電解質異常や薬剤による尿細管障害、尿路閉塞などによって生じる続発性のものが大部分です。特に高カルシウム血症と低カリウム血症では、多飲、多尿に加え、腎不全をきたします。