手の診察・・・splinter hemorrhage
上記より引用
典型的には爪の遠位より近位でみられ、感染性心内膜炎や全身性エリテマトーデス、抗リン脂質抗体症候群など免疫複合体が末梢に塞栓をつくり、出血斑を作る病態である。指の腹にペンライトを当て、爪のほうから透かしてみると、微小な点ー線状の出血を拾うことができる。
筆者は感染性心内膜炎を疑う患者をベッドサイドで診察するときに、手や足の指先にペンライトを当て、研修医と一緒に観察している。
線状出血を探す場合は、掌のオスラー結節やジェンウェイ斑、眼けん結膜も点状出血や眼底のRoth斑、そして心雑音をセットで探すとよい。爪下線状出血をみると同時に、爪周囲炎や爪上皮の出血斑も探す。仮に熱があり、それが不明熱であれば、膠原病が想起される。
「すべての身体所見はまず手からはじめる」「手は口ほどにものを言い」といわれるように、筆者は一般的に身体診察は「手」からはじめている。手をみるだけで、患者の職業がわかることもよくある。手(足)は体の先であり、末梢に大きなトラブルがなければ中枢にも大きな問題がない可能性を示唆する。
また臨床医が患者の手をとり、じっとその手を見つめる姿からは、単に医学的に手を診察するだけなく、患者自身に「私はあなたのそばにいて、きちんとあなたを診ているんですよ」というメッセージをおくることもできる。