ウェゲナー肉芽腫症・・・ティアニーのパールより

「ウェゲナー肉芽腫症の患者に腎病変があれば、腎生検で幸運にも肉芽腫性血管病変を見出すかもしれない。90%の患者が非特異的な糸球体腎炎を有する。」

この疾患の名前は、明らかに肉芽腫の要素があることを示唆しています。しかし、肉芽腫病変は散らばって存在するため、生検組織において壊死性血管炎を伴った肉芽腫を実際に確認できないことがあります。多くの患者で確認できるC-ANCAは、抗プロテアーゼ3抗体と関係があります。

原因不明の難病で、免疫抑制剤が効果がある。血管炎が病態なので、多彩な症状をきたす。診断をつけるのが簡単でないケースが多いのではないか。

以下難病センターのホームページより

1.概要
多発血管炎性肉芽腫症は、以前はウェゲナー肉芽腫症と称されていた疾患で、病理組織学的に(1)全身の壊死性肉芽腫性血管炎、(2)上気道と肺を主とする壊死性肉芽腫性炎、(3)半月体形成腎炎を呈し、その発症機序に抗好中球細胞質抗体(antineutrophil cytoplasmic antibody:ANCA))が関与する血管炎症候群である。元来生命予後の極めて悪い疾患であるが、発症早期に免疫抑制療法を開始すると、高率に寛解を導入できる。早期確定診断にANCAの測定は極めて有用である。多発血管炎性肉芽腫症で認められるANCAのサブタイプは、欧米では、ほとんどがプロテイネース3に対する抗体(PR3-ANCA)であるが、わが国ではミエロペルオキシダーゼに対する抗体(MPO-ANCA)が約半数を占める。

2.原因
上気道の細菌感染をきっかけに発症することや、細菌感染により再発がみられることが多いので、スーパー抗原の関与も推定されるが、真の原因は不明である。
欧米では特定のHLA抗原をもつ人に発症しやすいとの知見もあるが、我が国では特定のHLA抗原との関連は見出されていない。最近、PR3-ANCAが、発症要因のひとつとして注目されている。PR3-ANCAと炎症性サイトカインの存在下に好中球が活性化され、血管壁に固着した好中球より活性酸素や蛋白分解酵素が放出されて血管炎や肉芽腫性炎症を起こすと考えられている。

3.症状
発熱、体重減少などの全身症状とともに、(1)上気道の症状:膿性鼻漏、鼻出血、鞍鼻、中耳炎、視力低下、咽喉頭潰瘍など、(2)肺症状:血痰、呼吸困難など、(3)急速進行性腎炎、(4)その他:紫斑、多発関節痛、多発性単神経炎など。
症状は通常(1)→(2)→(3)の順序で起こるとされており、(1)、(2)、(3)の全ての症状が揃っているとき全身型、いずれか二つの症状のみのとき限局型という。

4.治療法
ANCA関連血管炎の診療ガイドライン(厚生労働省難治性疾患克服研究事業、2013年)を参考に副腎皮質ステロイドとシクロホスファミドの併用で寛解導入治療を開始する。上気道症状の強い例には、スルファメトキサゾール・トリメトプリム(ST)合剤を併用することもある。寛解達成後には寛解維持療法として、シクロホスファミドをアザチオプリンかメトトレキサートに変更し、低用量の副腎皮質ステロイドとの併用を行うことが望ましい。再燃した場合は、疾患活動性に応じた再寛解導入治療を行う。難治例に対する治療薬として、抗CD20モノクローナル抗体であるリツキシマブが用いられる。
また、上気道、肺に二次感染症を起こしやすいので、細菌感染症・日和見感染症対策を十分に行う。

5.予後
我が国のコホート研究に登録された新規患者33名の6か月後の寛解導入率は97%であった。一般に、副腎皮質ステロイドの副作用軽減のためには速やかな減量が必要である一方、減量速度が速すぎると再燃の頻度が高くなる。疾患活動性の指標として臨床症状、尿所見、PR3-ANCA及びCRPなどが参考となる。
進行例では免疫抑制療法の効果が乏しく、腎不全により血液透析導入となったり、慢性呼吸不全に陥る場合がある。死因は敗血症や肺感染症が多い。また、全身症状の寛解後に著明な鞍鼻や視力障害を後遺症として残す例もある。