再掲 飽和脂肪酸について言われていること。

2014年12月25日 飽和脂肪酸についての情報です。

飽和脂肪酸「悪玉論」のウソ―過小摂取に思わぬリスクも THE WALL STREET JOURNALより

 

飽和脂肪酸の摂取量を減らすことは女性の場合、特に害がある。ホルモンの違いにより、晩年に心臓疾患にかかりやすく、心臓疾患の発症の仕方も男性とは違うからだ。

飽和脂肪酸の摂取量を減らしている女性の場合、心臓疾患にかかるリスクが高い。この食事法では特に「善玉」コレステロールの値が急落するためだ(男性も減少するが女性ほどではない)。皮肉なことに、フルーツや野菜、穀物の摂取量を増やすことに励んできた女性は、今や男性よりも高い肥満率と心臓疾患による死亡率に苦しんでいる。

肉や卵、乳製品の摂取量を減らすための、この50年間の努力は悲劇的だ。キーズ博士の説を証明するために多額の資金が費やされたが、その食事法による恩恵は何も示されなかった。飽和脂肪酸にまつわる仮説をいったん寝かせ、国民の健康を悪化させている別の犯人を探すときがきた。

 

飽和脂肪酸のどこが悪い? 生活習慣病に対する飽和脂肪酸悪玉説の検証 

 

“動物性脂肪とコレステロールの摂取を減らして高リノール酸植物油を増やすと, 血清コレステロール値が下がって心疾患が予防できる” というコレステロール仮説は誤っていた

この説に基づく指導を長期に続けても血清コレステロール値は下がらず, むしろ心疾患死亡率が上がり, 寿命が短くなることがわかった。一方, 大部分の人 (40~50歳以上の一般集団) にとっては, 血清コレステロール値が高い群ほど癌死亡率が低く長生きであった。すなわち, “飽和脂肪酸に富む動物性脂肪が血清コレステロール値を上げ, 心疾患の危険因子となっている”, と考える根拠は崩壊した。

心疾患の危険因子はコレステロールではなく, 摂取脂肪酸のn-6/n-3バランスであった。最近トランス脂肪酸 (水素添加植物油) の安全性の問題が再びクローズアップされ, 代替油脂としてパーム油がわが国の供給植物油の20%を占めるまでに至っている。しかしパーム油は動物実験で発癌促進, 寿命短縮などの有害作用を示す。他にも動物に類似の有害作用を示す食用油が数種ある。

このような安全性の確立していない植物油に対し, 動物性飽和脂肪 (バター, ラードなど) の安全性が強調できる。メタボリック症候群の危険因子はタンパク質, 糖質を含めた栄養素の過剰摂取による過栄養 (over-nutrition) であり, 動物性脂肪は肥満にならない範囲で安全に摂取できる。

おわりに 過去半世紀の脂質栄養指針は,Keys式などに基づくコレステロール仮説に支配されていたといえる。しかし,研究結果の解釈に落とし穴があり,これに基づく栄養指導は,むしろ心疾患死亡率や総死亡率を上げる危険なものであることが分かった。

フラミンガム市民(男性)の20の追跡調査では,飽和脂肪酸や一価不飽和脂肪酸の摂取が多いほど,虚血性脳卒中死亡率は低い11)。
一方,脂肪を全体として減らすという栄養指導も無効であった12)。米国のこの分野の研究者は,途方に暮れているように見える。

わが国の脂質栄養学者は,米国NIH(ATPIII)発,国連のWHO/FAO発の情報に振り回されること無く,データを直視して独自の方向を推し進めることを期待されている。

動物性脂肪は比較的安全であり,生活習慣病予防の脂質栄養の基本はn―6/n―3比を下げることである。