エブノーサー博士 一般開業医になる

上記より

カテーテルの実験でボランティアの学生に事故が発生する。

このまま続行したら、さらに深刻な事故が起きかねない。それに、前と同じ手順で実験を続ければ、予知できない合併症を引き起こす可能性もある。健康な研究者や学生に無用の冒険を冒させたくないと考えたエブノーサー博士は、上司の指示を拒んだ。

「学問としての医学を極めるためにそれが必要だといわれても、私には断じてできないとわかっていました。そのとき私は、怒りさえ感じていたのです」。そして結局、エブノーサー博士は心臓病学の分野から身を退いた。そのとき彼は、心臓病学を専門とする教授になるという夢を捨て、一家庭医として臨床活動を開始したのである。

一般開業医になるには改めて勉強しなくてはなりませんでした。」と彼は往時を回顧し、「しかしそれはとても興味深い経験でした」という。それは、彼がそれまで受けてきた専門医になるための訓練とは根本的に異なっていた。彼は広範囲にわたる多様な疾患を診ることにも、患者達を治療することにも意欲をもって臨み、その挑戦をむしろ堪能した。そのため、彼の臨床活動は非常に順調に進んだ。

専門医が素晴らしいのは間違いないけれど、幅広く学ぶことが、より深く医学を学ぶことにつながると思う。このエピソードからエブノーサーの人柄がわかる。