広島医学会雑誌より 重症熱性血小板減少症の1例

2023年9月号 より 菅春香ら(中国労災病院)

70歳代、男性。発熱・気分不良・倦怠感を自覚し、その後も全身症状の改善がないため発症6日目に当院へ救急搬送された。肝腎機能障害、白血球数・血小板数の低下を認め、また左下腿外側に刺し口を疑う紫斑を認めることからダニ咬症が疑われ、発症8日目に重症熱性血小板減少症の診断に至った。呼吸状態・意識レベルが悪化しICUに入室し、気管挿管・人工呼吸器管理とした。適宜血小板輸血やDIC治療、併発した急性腎不全に対し持続緩徐式血液ろ過透析を行った。その後呼吸状態・意識レベルは改善したため人工呼吸を離脱し、抜管した。全身状態は改善傾向であったが、腎不全状態は持続しており維持透析目的に転院した。SFTSは重篤な全身合併症をひきおこし、致死率の高い感染症である。本症例は侵襲的な治療が必要となるSFTSの症例であったが、迅速な診断と治療介入が救命できた要因の一つと考えられた。

コメント:この疾患に対する治療は確立していないようである。このケースでも対症療法を主として治療がなされている。致死率がかなり高いらしい。(6-30%)
”血球貪食症候群”の範疇なので早期の免疫抑制療法(CHOP)がファーストチョイスでよいのではないか? (治療に携わる立場にいませんが。)

ウイルス関連血球貪食症候群(VAHS)を呈した重症熱性血小板症候群(SFTS)の2例 | 文献情報 | J-GLOBAL 科学技術総合リンクセンター (jst.go.jp)