霊長類とウリカーゼの喪失(果糖からの脂肪貯蔵能力の向上)

Evolutionary basis for the human diet: consequences for human health – Andrews – 2020 – Journal of Internal Medicine – Wiley Online Libraryより

①中新世(1500-1200万年前)後半に地球は急速に寒冷化し、季節がはっきりしてきた。

乾季と寒冷期が発生し(寒冷期に果実が手にはいらなくなり)、猿人は生活できなくなり、居住域を減じ絶滅した。(およそ800万年前までに・・・ヨーロッパやアジアなどで)

この時期に、霊長類は尿酸代謝酵素ユリカーゼを失った

③この変異は生存上の優位性があったのであろう。霊長類の血清尿酸値は上昇した。

④有力な仮説・・・尿酸値上昇によりフルクトース(果糖)から脂肪やグリコーゲンを体内に貯蔵する能力が上昇した。

冬眠や移動、営巣など長期間食物が手に入らない気候に適応することを可能にする。

⑤フルクトースの栄養素としての資質は、他の栄養素と異なっている。

・細胞のエネルギーレベルを低下させる。

・アデニンヌクレオチドを分解し、尿酸を合成させる。結果、脂肪集積、インスリン抵抗性をおこす。

血圧上昇、肝臓に脂肪を集める、糖新生を促進するなど。

 

 

 

EC 1.7.3.3.ユリカーゼともいう.尿酸を酸化してアラントインに分解する反応を触媒する酵素.基質特異性が高い.

尿酸 + O2 + 2H2O → アラントイン + CO2 + H2O2

ヒトや霊長類にはその存在は知られていないが,ほかのほ乳動物には認められている.とくに尿中にプリンの代謝産物として,前者では尿酸そのものが排泄され,後者ではアラントインが排泄されていることが知られている.ブタの肝臓より単離された酵素は,補欠分子族として銅を含んでおり,分子量は12.2×104 とされている.反応の至適pHは9.5付近にあり,ジチゾン,1,10-フェナントロリン,2,2-ビピリジル,チオ尿素やN,N-ジエチルジチオカルバミン酸エステルなどで賦活化されるが,重金属(Cu,Mn,Co,Zn,Ni,Fe)により阻害され,シアンでは不可逆的に阻害される.基質特異性の高いことを利用して,尿酸の定量法にも利用される.[CAS 9002-12-4]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報