ビタミンD欠乏症と線維筋痛症

上記のケース13より

40代男性。3か月以上継続する中等度の痛み。肩、腰、全身の関節痛が主訴。

既往歴として10年間のうつ。

血液検査で炎症反応などに乏しい。

鑑別として線維筋痛症、リウマチ性多発筋痛症が挙げられている。

線維筋痛症は長期間抗うつ薬を内服されていることから否定され、リウマチ性多発筋痛症は炎症反応がないことから否定している。(本ケースでは、疼痛部位はリウマチ性多発筋痛症に類似)

25-OHーvitaminD 16.6からビタミンD欠乏による疼痛と診断された。ビタミンD内服2か月で改善したという。

近年、線維筋痛症のような疼痛をきたす慢性疼痛疾患で、ビタミン欠乏が原因との考えも広がりはじめている。ビタミンと疼痛の関連はいまだ明確ではないが、鎮痛薬の使用量と体内のビタミンD量が逆相関することや、ビタミンによる抗炎症作用と体内のビタミン量が逆相関することや、ビタミンによる抗炎症作用、悪性腫瘍細胞の抑制作用などが示唆される報告があり、筋骨格系疼痛の原因のひとつとして注目されている。

 

コメント:以前の山中先生の書籍でも、栄養に焦点をあてたケースレポートがよくあった。

栄養医学に興味を持たれているに違いないと思う。

本ケースは、一般的に議論となるところだろう。なにせ25-OH-vitaminD 16.6は、広島人の平均値よりも高いのだ。うつ病のヒストリーから推定すると、タンパク質やビタミンB群の不足も併存していそうだ。

むしろ線維筋痛症にはビタミンD補給が有効かもしれない?

広島人のビタミンDレベル – 伊藤内科医院 (itonaika.in)