尖圭コンジローマとビタミンA

日経メディカル誌 2020年5月号 日経メディカルクイズより

尖圭コンジローマは外陰部や肛門周囲に生じるウイルス性疣贅で、HPV6型/11型の感染でおこる。性活動の盛んな年代に多い性行為感染症であるが、幼小児や高齢者に発症する場合もあり、性行為以外での感染や感染経路が不明の場合もある。

臨床症状は乳頭腫やカリフラワー状の淡紅色、褐色の結節であり、診断は発生部位や特徴的な臨床症状から可能である。コンジローマの治療は、液体窒素による凍結治療、イミキモド外用や外科的治療などが行われる。これ以外にもインターフェロン局注、5-FU軟膏外用やエチレナート内服などが有効とする報告例もあるが、いずれも保険適応外でエビデンスに乏しいことから、積極的には推奨されていない。

 

本症例では液体窒素による凍結治療を約4か月間行ったが改善せず、エトレチナート内服を行ったところ、1か月から縮小傾向を示し、約3か月でほぼ消失した。

 

エトレチナートはビタミンA誘導体の一つで、角化抑制作用や表皮増殖抑制作用を持ち、乾癬や掌蹠角化症の治療に用いられる。副作用として口唇炎や肝障害などが認められる。ただし、エトレチナートそのものには抗ウイルス作用はない。副作用として口唇炎や落屑など皮膚・粘膜症状のほかに肝障害や高脂血症などが高率に認められる。また、最も注意すべきは催奇形性であり、妊娠する可能性のある婦人には原則禁忌。投与中および、投与終了してからも女性は2年間、男性は6か月間の避妊が必要で最低2年間は献血も禁止である。

 

尖圭コンジローマにも有効であるが、保険適応外であること、催奇形性という重大な副作用があることから治療の第一選択ではない。

コメント:治療経過の写真があるが、見事に改善している。
普通のビタミンAでも効果があるのではないか?(副作用、妊婦の使用可能量などもよくわかっている。)ビタミンĀは過剰な角化を抑制する作用があると考えられる。