バゾプレシン分泌低下症の治療
日本内科学会雑誌 2026年4月号より
AVP分泌低下症の原因疾患が特定できれば、まずはその治療を行う。
AVP分泌低下症の治療は、AVPのアナログ製剤で、V2受容体選択的アゴニストであるデスモプレシンを投与することにより尿量を減少させることである。治療の目的は、まず、夜間尿を減らして十分な睡眠をとれるようにすること。次に昼間の尿量をコントロールすることである。そのため、まずは就寝前1回の投与で少量から開始し、夜間尿がおさまらなければ増量し、昼間の多尿、口渇、多飲が続くようなら朝の投与も追加する。後述する低ナトリウム血症の予防のため、多尿、口渇、多飲をコントロールできる最小量のデスモプレシンを用い、1日1回程度、デスモプレシンの効果が切れる時間を設定し過剰な水を輩出できるようにする。治療の導入は企保運的に入院で行い、治療導入後の数日間は尿量、尿浸透圧(または比重)、血清ナトリウム濃度、体重などをなるべく毎日測定し、投与量や投与回数をなるべく毎日測定して適正使用量を決定する。この際に血清ナトリウム濃度が基準下限値を下回らないように注意する。患者は多飲習慣があるため、治療開始時は飲水量を意識的に控えるよう指導する。
デスモプレシンの副作用として、低ナトリウム血症がある。AVP分泌低下症患者の27%で定期的な血液検査時に軽度の低ナトリウム血症を呈している。患者に低ナトリウム血症の症状(倦怠感、食欲不振、頭痛など)を説明し、症状が出現した場合は速やかに受診するよう指導する。