三叉神経痛の診断・治療と医科歯科連携 「歯痛」と誤認しないために
月刊保団連 2026年5月16日
三叉神経痛は口腔顔面痛の1つで、患者は口腔内や額周辺などの激烈な痛みに苦しむため、生活に多大な支障が生じる。また、歯に原因がないにもかかわらず、その激痛が「歯痛」として感じられるため、患者は歯科を受診する例が多いが、歯科医師が診断を間違えれば、不必要であるにもかかわらず、抜歯や抜髄など、不可逆的かつ侵襲的な治療を繰り返すことにもなりかねない。正しく診断し、適切な治療を行うためにも、歯科医師と脳神経外科医が診療科の垣根を超えて連携することが需要である。
人類が経験する最悪の痛みの1つ
三叉神経痛は、顔面の片側に激烈な痛みを来す疾患である。この痛みは人類が経験する最悪の痛みの1つと表現されることもあり、QOLを著しく低下させる。発症の初期檀家においては、痛みの持続時間が不規則であったり、トリガーゾーンが明確でなかったりと、三叉神経痛としての典型的な症状が完全にそろわないこともある。その結果、診断が難航し、原因不明の非歯原生歯痛に対して、不可逆的かつ侵襲的な抜歯や抜髄などの不必要な歯科治療が繰り返し行われてしまう可能性がある。
診断基準
①典型的三叉神経痛:MRI等の画像検査において、三叉神経痛の原因として三叉神経根への明らかな血管性圧迫と三叉神経の形態学的変化を伴うもの
②二次性三叉神経痛:血管の圧迫ではなく、小脳橋角部の聴診系主要や髄膜腫、類上皮腫などの脳腫瘍、あるいは多発性硬化症による中枢側の脱髄病変など、明らかな基礎疾患に起因して引き起こされるもの
③特発性三叉神経痛:三叉神経痛の症状があるにもかかわらず、MRI等の画像を用いても血管圧迫や腫瘍などの明らかな原因が確認されないもの。このうち、微小懸案減圧術の主な対象になるのは典型的三叉神経痛である。
近年の三叉神経痛への外科治療のもう一つのトピックとして、血管圧迫や腫瘍などの明らかな原因が確認されない特発性三叉神経痛への神経内剥離術が挙げあられる。神経内剥離術はMVDと同様に三叉神経に至り、三叉神経の神経束を数本に分離する術式である。
85%が術直後に疼痛が消失し5年後の長期的疼痛コントロールは72%と報告されている。