Long COVIDを含む筋痛性脳脊髄炎(慢性疲労症候群)患者への経口ミノサイクリン療法の有効性について

日本内科学会雑誌 2025年2月号より  ミワ内科クリニック 三羽邦久

目的 強度の全身倦怠感の他、多彩な症状により大幅な生活制限を余儀なくされる筋痛性脊髄炎患者に対する治療は今なお難渋している。近年は、新型コロナウイル感染後や、新型コロナウイルスワクチン接種後にMEに極めて類似した後遺症が数多くの人に持続し、社会問題化している。最近、ミノサイクリンが神経炎症抑制薬としてME患者に治療効果をもたらすことが報告された。

方法 コロナ期に発症したME患者55例(COVID19例を含む)にミノサイクリンを6週間(初日は100mgx2,引き続き100㎎/日を41日間)経口投与した。症状、検査結果、日常活動の制限の程度を示すPerformance Status (PS) score(0-9) を前後で比較した。

結果 悪心やめまいを伴う急性の副作用のため、4例(7%)がミノサイクリン服用開始3日以内に治療継続を断念した。一方、治療後、速やかな自覚症状の改善を認め、PS scoreの2以上の改善を伴う有効性が41例(75%)に確認された。症例により、疲労感、労作後消耗遷延、睡眠障害、Brain fogなどの症状や起立不耐症(10分間起立完遂不能)、平衡障害、神経障害性疼痛などの改善効果が70-80%に認められた。なお、Long COVID例での有効率は84%であった。既報結果比較して今回の成績では内服不能例が非常に少なく、有効例の締める割合が格段に増加した。これは、罹患期間が3年以上の例がなく、半年以内が多数をしめていたためと考えられる。

総括 Long COVIDや新型コロナウイルスワクチン接種後に発症した例を含めた発症間もないMEに対して、早期からの経口ミノサイクリンを推奨したい。

 

ミノマイシンはテトラサイクリン系。イベルメクチンはマクロライド系。 不思議な作用があるよう。