若年性高血圧で受診し原発性アルドステロン症が疑われたLiddle症候群の確定診断に至った1例
日本内科学会雑誌 2023年2月号より
26歳女性。高校生時より血圧高値を指摘され、26歳時当院を受診し、当初のスクリーニング検査では原発性高アルドステロン症が疑われた。負荷試験の結果診断には至らなかったが、若年性高血圧で高血圧の家族歴も濃厚であり、低レニン活性・アルドステロン基準値内であることからLiddle症候群が疑われた。遺伝子検査で、上皮型ナトリウムチャンネルのβサブユニットをコードするSCNN1Bの変異が同定され、確定診断に至った。若年性高血圧では患者のQOL維持や生命予後のため、早期の成因診断と治療が重要である。
・Liddle症候群は原発性アルドステロン症に似た臨床像を示すが、高アルドステロン血症を呈さない。
・Liddle症候群は、尿細管の上皮型ナトリウムチャンネルを構成するサブユニットをコードする遺伝子の変異で発症する。
・本邦ではLinddle症候群の治療薬にトリアムテレンがある。
・若年性高血圧や治療抵抗性高血圧では、鑑別診断として遺伝性疾患を考慮する必要がある。