高齢者の腸閉塞について

臨床と研究・93巻4号(平成28年4月) 腹痛   光岡 雅文 田妻 進 著   より引用

 

腸閉塞は、とくに腹部手術の既往がある高齢患者ではよくある原因疾患である。症状は、腹痛、腹部膨満、悪心・嘔吐である。小腸閉塞の原因には、癒着(50-70%)、ヘルニア嵌頓(15%)、悪性腫瘍(15%)がある。高齢者の小腸閉塞では、とくに腹部手術歴のない場合には、大腿ヘルニア、鼠径ヘルニア、閉鎖孔ヘルニアなどによる腸閉塞のことがあるので、鼠径部の診察を必ず行う。高齢者の大腸閉塞の原因は、大腸がんや憩室疾患、捻転症(S状結腸捻転)などによる。腹部手術の既往があることは腸閉塞のリスクを増す。S状結腸捻転症は、腹部膨満、便秘、腹痛、悪心などで嘔吐は少ない。痛みは持続的で強いが、疝痛のような痛みも重なって起こる。

コメント:悪性腫瘍の可能性も考える。