一般社団法人 日本臨床栄養代謝学会 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の 治療と予防に関する栄養学的提言

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の 治療と予防に関する栄養学的提言
上記引用

提言4:微量栄養素の適正投与 高齢者では嗜好の変化や偏り、バランスの悪い栄養素の摂取、十分な食事量の摂取が 維持できていない、また食およびそれを取り巻く社会的環境の不十分さなどによって容易に 微量栄養素、すなわち各種ビタミンや微量元素の欠乏をきたす。微量栄養素の欠乏は、宿 主の免疫能を障害することが知られている。特に、最近の知見では、ビタミン D の欠乏が、 インフルエンザ、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)や C 型肝炎ウイルス(HCV) などのウイルス感 染症の発症に関与しているとの報告がある27)~29)。COVID-19 においても微量栄養素の欠 乏が指摘されることが多い高齢者に発症や重症化症例が少なくなく、ビタミン D 欠乏が発症 および増悪因子の一つになっていることが推測される21)30)。ビタミン D は、主にカジキ、サ ケ、サンマ、イワシ、サバ、ブリ、マグロなどの魚類やシイタケ、キクラゲなどのキノコ類、牛 乳、卵に多く含まれている。また、ホウレン草やニンジン、春菊、肝油、レバー、ウナギなどに 多く含まれるビタミン A も感染症に対する生体防御に関与しており、特に小児において重要 である 31)。その他、ビタミン E、B6、B12および亜鉛やセレンなども免疫能に関与しており、そ れらの欠乏が感染症の発症や重症化に関わっているものと推察される32)。