患者さんの訴えに耳を傾けるということ

 上記より引用・・・心の乱れが誤診につながる。「働きすぎ」もあると思う。

 なぜ、この症例でヘントウ周囲膿瘍にこだわったかというと私の痛い体験談が元になっています。経験を積んで自信が出てきた頃、1人の高齢女性をレジデントの先生と一緒に診察しました。患者さんは口が開きにくいと言ってくれたのですが、その際少しイラつきながら話を聞いていたので、気のせいだと言ってしまったのです。実際に患者さんを私自身が診察したときも、他覚的には開口障害があるようには見えませんでした。後日患者さんは、咽頭痛、開口障害、嚥下困難が増悪し再診しました。結果的に患者さんは事なきを得ましたが、私にとっては苦い思い出です。後で振り返れば、初診時にもヘントウの付け根が腫れていたかもしれません。しかし、なにより重大な失敗は、患者さんの訴えを軽視したということです。患者さんの病歴を軽視するべきではないということは、自然におわかりいただけると思います。そして、その前提として自戒をこめて心を平静にするということが大切なのかもしれません。大概、ミスというのは心が乱れているときに起こるものです。もしイラついてしまっても、少なくとも自分はイラつきながら診察をしていると意識することが大切だと思います。