「ふつうのおんなの子」のちから

 NHKの番組に著者が出演されていたので、読んでみました。

 たいがいの人たちは、ほんとうの生活をしていません。かれらはただ競争しているのです。地平線から遙かに遠い、ある目的地へいきつこうと一生けんめいになっているのです。そして、一気にそこへいこうとして、息せき切ってあえぐものですから、現に自分たちが歩いている、その途中の美しい、のどかな、いなかの眺めも目にはいらないのです。そしてやっとついた頃には、もうよぼよぼに老いぼれてしまって、へとへとになってしまっているんです。ですから、目的地へついてもつかなくても、結果になんの違いもありません。わたしは、よしんば大作家になれなくっても、人生の路傍にすわって、小さな幸福をたくさん積み上げることにきめました。あなたは、あたしがなりかけているような、こんな女哲学者のことをおききになったことが、おありになって?

 

謙虚という言葉を辞書で引くと、控えめなこと、へりくだることとあります。ここでジョーがお母さんに感じたのは、これとはちょっと違うのではないでしょうか。
 アメリカのアスペン研究所は、古典を通して社会のリーダーとして活躍する人を育てるセミナーを行っています。(日本にもこれに倣った研究所があり、私も少しお手伝いをしています。)アメリカの研究所の理事さんが「リーダーになる人の持つ性質として、最も大事なのは謙虚さです」と話されている記録を読んで驚きました。競争を第1とし、俺が俺がという人が勝つ国だと思っていたら、上に立つには謙虚さが基本というのですから、意外です。