フルクトース(果糖)15g負荷試験
はじめに
近年自己血糖測定器の普及により、さまざまな知見が得られるようになった。数人の糖尿病者(スーパー糖質制限実施中)から、果物で思った以上に血糖が上昇するという報告があった。果糖は果物の糖分で、一般にあまり血糖を上昇させないといわれている。(近年、フルクトースは、いくつかの理由によりグルコースより毒性が高いと認識されるようになってきている。)
江部康二著「糖質制限パーフェクトガイド」より引用
糖質の中で血糖値をあまり上昇させない物質が、果糖です。GI値が20ほどであり、ブドウ糖と比較すると、血糖値があまり上昇しないためインスリンの追加分泌も少なくなります。
ウィキペディアより引用
精製された砂糖であるグラニュー糖のGI値は60前後であり、グルコースより低い。グラニュー糖の主成分の蔗糖(スクロース)はグルコースとフルクトース(果糖)からなる二糖類である。グルコースは血糖値を急激に上昇させるが、残り半分のフルクトースは吸収されても血糖値を上げにくい。糖新生を除き、フルクトースは少量しかグルコースに変換されない。果物は一般的に糖分が多いが、その糖分の多くはフルクトースであるので、グルコース単体に比べて果物のGI値は低くなる傾向にある。
今回我々は100%フルクトースを用いて正常者と糖尿病者での内服比較実験を行った。
(リンゴ1個240gの糖質量は35.6g、フルクトース18g)
被験者
被験者A 49歳男性 身長175cm 体重62kg 糖尿病なし 43歳時よりスーパー糖質制限実施中。
被験者B 51歳男性 身長174cm 体重63kg 41歳時に2型糖尿病発症(当時のHbA1c12%台) カロリー制限と内服治療(ビグアナイド、DPP4,スタチンなど)でHbA1c6.2-7.4%程度で推移。48歳時よりスーパー糖質制限を開始し継続中。内服治療はすべて中止。2018年5月16日HbA1c5.6%
方法
空腹時に150mlの水道水に100%フルクトース15gを溶かし内服する。30分おきに2時間後まで計測。100%フルクトースはアマゾンで購入。被験者Aについては、ケトン体値も測定する。
予想 インスリンの反応が悪い糖尿病者の方がより血糖値が上昇しやすい。
結果
血糖値の変動
被験者A 内服前 77 30分 114 60分 111 90分 95 120分 85
被験者B 内服前 109 30分 144 60分 147 90分 136 120分 124
ケトン体値
被験者A 内服前 400mmol/l 30分 100mmol/L以下 60分 100mmol/L以下 90分 100mmol/L以下 120分 100mmol/L以下
血糖上昇の最大値はAが37mg/dl、Bが38mg/dlと変わらない。グラフの波形もほぼ同一であった。
ケトン体はAのみの測定だったが、内服120分後まで100以下が継続した。
考察
予想よりも血糖上昇が大きかった。両者とも糖質制限をしていることが影響しているかもしれない。
フルクトースが直接グルコースに変換されて血糖上昇をおこしたのではなく、フルクトース摂取により、(訂正×糖新生がおこり ○肝臓よりのグリコーゲンの放出がおこり)、血糖値が上昇したのではないかと考えられた。フルクトースを増やして内服した場合、比例して血糖が上昇するものか、あるいはあまり血糖値は変わらないのか、興味がある点である。
フルクトースはケトン体の維持に悪影響があることがわかった。
実験協力
ローカーボカフェ35@Do 広島県広島市亀山5丁目7ー10 080-2909-2954
鷲見恵子さん(カフェオーナー)富樫誠司さん