薬剤誘発性ブルガダ症候群
岡山大学 先端循環器治療学講座 教授 森田 宏
saddleback型波形の例や、心電図異常がないものでも、ある特定の薬剤を投与すると、典型的なcoved型波形が出現することがあります。これを薬剤誘発性ブルガダ症候群といいます。抗不整脈薬以外でも様々な薬剤での薬剤誘発型ブルガダ症候群が報告されており、原因薬剤を継続投与しなければ心室細動発生は比較的稀と考えられています。原因薬剤を継続投与した場合の心室細動発生リスクの報告はありませんが、coved型波形が出現した場合、通常の無症候性のブルガダ症候群に準ずると考えられ、原因薬剤の中止、変更が必要です。以下に投与を避けるべき薬剤と、避けたほうがよい可能性がある薬剤を示します。薬剤以外では体温上昇がブルガダ型心電図の新規出現・増悪因子として知られており、発熱時の速やかな消炎鎮痛座位の投与が推奨され、また熱い風呂での長時間の入浴は避けたほうがよいと思われます。