夏井睦先生ブログより・・・質問

 

毎日,クリニックのホームページに問い合わせメールが届きますが,その多くは「消毒して軟膏ガーゼ」の治療を受けている熱傷患者さんとその家族からです。それに対し,湿潤治療でどのくらい早くきれいに治るか,皮膚移植が必要と言われた症例でも手術なしに治っていることを説明し,治療を行っている病院を紹介しますが,必ずと言っていいほど「今からでも遅くないですか? 今からでも間に合いますか?」と質問してくる患者さんがいます。多分,「間に合う」と言ってほしいのでしょうが,これって間に合う,間に合わないという問題なんでしょうか。
こういう人には次のように返事を出しています。

 

逆に質問します。こんなメールを貰ったらあなたならどう答えますか? ◦「たまたま入ったレストランの食事が不味いです。我慢して食べたほうがいいでしょうか。今から美味しいお店をスマホで探して遅くないでしょうか?」
◦「子どもの学習塾の先生が教え方が下手で成績がちっとも上がりません。今から別の先生を探して手遅れでしょうか?」
◦「炭水化物大好きで太って糖尿病です。今から糖質制限していいのでしょうか? 間に合いますか?」
◦「道を間違えました。この道を歩き続けたほうがいいでしょうか? 今から正しい道を探して間に合うでしょうか?

全部,同じなんですよ。まずい料理を我慢して食べるのを選ぶのも,さっさとそのお店を出て美味しいお店を探すのも,個人の自由であって他人に教えてもらうこと,決めてもらうことではありません。判断材料となる情報が手に入ったら,あとは自分で決めればいいのです。

http://www.wound-treatment.jp/new.htm#0817-4