腎血管性高血圧症について
外来診療 目利き術より 引用
腎動脈の狭窄あるいは閉塞による腎還流圧の低下により高血圧を呈します。軽症の高血圧は少なく、重症の悪性高血圧になることっも多いです。若年者では線維筋性異形成、高齢者では粥状硬化病変が原因です。高齢者では冠動脈疾患(10-14%)や末梢動脈硬化疾患や大動脈疾患(24-35%)の合併が見られます。
線維筋性異形成は通常,40~60歳の女性に発生する。原因は不明である。しかしながら,遺伝的要素があると考えられ,喫煙が危険因子である可能性がある。線維筋性異形成は,特定の結合組織疾患(例,エーラス-ダンロス症候群IV型,嚢胞性中膜壊死,遺伝性腎炎,神経線維腫症)を有する集団でより多くみられる。
最も一般的な病型である中膜異形成は,コラーゲンを含む線維筋性の厚い隆起と薄い隆起が中膜に沿って交互に現れる領域を特徴とする。中膜外層異形成(perimedial dysplasia)では,広範なコラーゲン沈着が中膜の外側半分で発生する。線維筋性異形成は腎動脈(全患者の60~75%),頸動脈および頭蓋内動脈(25~30%),腹腔内の動脈(9%),外腸骨動脈(5%)を侵すことがある。
線維筋性異形成は通常,部位にかかわらず無症状である。発生した場合の症状は部位により異なる:
頸動脈:一過性脳虚血発作または脳卒中の症状
腹腔内の動脈:腸間膜虚血の症状(まれ)
頭蓋内動脈:脳動脈瘤の症状
下肢の動脈:大腿部および腓腹部の跛行,大腿動脈の雑音,大腿動脈の拍動減弱
腎動脈:二次性高血圧
超音波検査から診断が示唆されることがあるが,線維筋性異形成の確定診断は血管造影で数珠状陰影(中膜または中膜外層異形成)または同心円状の帯ないし長く滑らかな狭小化(その他の病型)の所見を確認することによる。