ケーススタディの重要性

日経メディカル 2018年11月号より

松村理司 先生

K もっと経験を共有できる環境にしていかなければいけない。

松 そうです。別の言い方をすれば、ケーススタディです。臨床教育においてケーススタディはとても大事ですが、日本ではケーススタディをきっちりとする習慣がまだ十分ではありません。大学の授業でもあまりケーススタディをしませんし、米国の大学の教授はケーススタディばかりやっていすし、学生の段階から外来、病棟でたくさん患者を診ていますよ。単なる医学的知識の習得だけではなく、そのときの患者や医療者の心の動きまで学び、経験していくのです。

日本の教育は今でも講義形式です。偉い先生が教え授けることがメインです。許されるのはせいぜい質問くらい。ほとんど議論しませんね。

もっと「間違いだらけのカルテ」で学んでほしい。ケースをよく学び、上級医も一緒になって議論する。それが医師として成長し続けるために必要なのだと思います。