2014年1月30日

感染症の講演会に参加してきました。
講演内容の批評をしてみます。

1.講師の先生(呼吸器内科医)は、アメリカ流PKーPD理論等をご紹介されて、抗生剤を使うときは大量に短期間にとの説明。

2.しかし、具体的な抗生剤の使い方についての内容がありませんでした。
そこで、二人から質問がありました。ニューキノロン(特にレスピラトリーキノロン)と、第三世代経口セフェムについて(岩田先生の名前をだして私が質問しました。)。

講師は呼吸器感染症にたいするニューキノロンについては比較的推奨するコメントでした。一方では大腸菌のクラビット耐性が非常に増加していることを指摘されました。
経口第三世代セフェムについては、「使うなら大量に」(・・・第三世代経口セフェムはブロードすぎて適切でないという質問でもあるのですが)「血中濃度はたしかに上がらない。日本は安全性を求めて薬剤投与量が少ない」、「小児科領域での使用が多い」・・・(実際は成人でも莫大に使われている)などとお答えいただきました。

3.この先生のスライドには、肺炎球菌肺炎をカルバペネムで治療した経過を出しておられ、またキノロンの使い方をみるかぎりアメリカ流の感染症学を実践していないのは明らかです。

日本の経験的治療学なら、それはそれで一理も二理もあるかと思います。アメリカ輸入の学問がはやっているからと言って正しいとは限りません。 ただ、アメリカ理論を紹介しながら、具体的な使用法として日本式を推奨するのは、聴衆を混乱させるだけです。

以下、岩田健太郎著 99.9%が誤用の抗生物質より

「何度も言いますが、99.9%の経口三世代セフェムは誤用されています。その本来の使い道は、ごくごくまれな、マニアックなケースに使えるくらいで、一般診療上は、ほとんど出番がありません。」

「その肺炎球菌ですが、2008年のCLSIの変更以来、肺炎についてはほぼ全例ペニシリンで治療できるとすでに指摘しました。ところが、今でも、最強の抗生物質はカルバペネムと信じ込んでいる医者が、肺炎球菌による肺炎にカルバペネムを使っています。」