腎疾患のクリニカルパール

上記より
慢性腎不全の治療目標をクレアチニン低下に設定すると患者も医者も路頭に迷う!クレアチニン中毒にご注意!

 残存糸球体に血行学的負荷がかかり、糸球体内圧が高い状態になっているためタンパク尿が多い。タンパク尿が多いと腎不全が進行するため、できるだけ糸球体内圧を下げてタンパク尿を減らす必要がある。タンパク尿を減らす3つのコツを以下に示す
1)全身血圧の低下(130/80以下)
2)RA系阻害薬による輸出細動脈の拡張
3)低たんぱく食による輸入細動脈の攣縮

注意すべき点は、糸球体内圧を下げた結果、すくなからずクレアチニンは上昇すると認識することである。タンパク尿を減らすためeGFRを意識的に下げたのに、クレアチニンが上がらないはずがない。このようにタンパク尿の多い慢性腎不全患者の場合、介入によりクレアチニンが上がる事を患者に説明しておく必要がある

なお、タンパク尿のない動脈硬化型や尿細管間質障害による慢性腎不全でのRA系阻害薬の有用性は証明されておらず、腎疾患の第一選択薬にならないため注意を要する。

 コメント:大切なパールのような気がする。