再掲 食後低血圧について

2014年12月10日 食後低血圧
入浴後、お饅頭を食べたあと、意識を失った方が受診されました。血圧がひどく下がっていたようです。

食後低血圧(+入浴後低血圧?)と考えました。
高齢者の失神には、食事、特に糖質が関係しているようです。このようなケースは珍しくありません。カルピンチョ先生ホームページより

高齢者や糖尿病患者に多い食後低血圧は糖質制限で防げる
食後低血圧と糖質摂取とαグルコシダーゼ阻害剤

メルクマニュアルより

食後低血圧とは、食後に血圧が過度に低下することです。
めまい、ふらつき、転倒などを起こします。
食後低血圧の診断では、食前と食後の血圧を測定します。
少量の低炭水化物食を頻繁にとることで症状が軽くなることがあります。

食後低血圧は、高齢者では多いと3分の1に起こりますが、若年者ではほとんどみられません。特に食後低血圧を起こしやすいのは、高血圧の人や、体内の代謝を調節する自律神経系を管理している脳の一部が損傷するような疾患がある人です。そういった疾患には、パーキンソン病、多系統萎縮症(シャイ・ドレーガー症候群)、糖尿病などがあります。

腸が食物を消化するには大量の血液が必要です。食後、腸に血液が集まると、血圧を維持しようとして心拍が増加し体の他の部位の血管が収縮しますが、一部の高齢者ではこの代償機序が十分には働きません。血流は正常に腸へ集まりますが、血圧を維持できるほど十分には心拍は増加せず、血管も収縮しません。その結果、血圧は低下します。

食後低血圧では、めまい、ふらつき、気が遠くなる、失神などが起こります。高齢者が食後にこのような症状をみせた場合は、食前と食後の血圧を測り、食後低血圧が原因かどうかを確かめる必要があります。

食後低血圧の症状がみられる人は食前に降圧薬を服用しないようにし、食後は横になって休む必要があります。降圧薬の服用量を少なくしたり、少量の低炭水化物食を頻繁にとることで、食後低血圧の症状が軽くなることがあります。一部の人では、食後に歩くことで血流が改善しますが、歩くのをやめると血圧が低下する可能性があります。

食前に特定の薬を服用して症状が軽くなる場合があります。たとえば、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)は塩分を保持し、血液量を増加させます。カフェインは血管を収縮させます。朝食前にだけとるようにすれば、眠れなくなることも、耐性が生じて効果を得るのに必要なカフェインの量が増えていくこともありません。他の治療法が効かない重度の症状のある人や入院中の人には、オクトレオチドを注射して腸への血流を減らすこともあります。