心不全患者の日常の中での陽圧換気療法と問診

日本臨床内科会誌 2024年9月号より部分引用

田中 新一郎 先生

症例は60歳前後の男性。配達の仕事をしている。息切れに手来院。心エコーにてEF30%であり心不全と診断。精査目的で入院をすすめるも仕事を理由に強く拒否された。

症状が悪化し受診される際は必ず配達用の原付バイクで受診された。バイクの運転は非常に危険で乗らないようにお話ししたが、バイクの運転は問題ないし、仕事もできるという。ある時、バイクにこだわる理由についてお聞きしたところ、「バイクで走っている時のアゲインストで体調がよくなるんです。」とのこと。

彼は仕事熱心なためバイクに乗るのではなく、症状緩和のためにバイクを運転していたのである。

 

もうひとつの症例は70歳前後の男性。

・・・「夏場は水分の調節が難しいから、心不全コントロールが難しくなるね。」

患者「いえ、夏場の方が楽なんです。夏は扇風機を顔にあてているんですよ。」

医師「!」

患者「扇風機の風量は”弱”ではだめなんです。”強”だと楽なんです。」

そこで前例の経験を踏まえ、すぐにASVの導入により心不全の症状は劇的に改善し、日常生活動作が格段に改善した。