アルツハイマー病について(ダウン症との関連)・・・SMART NEUTRIENTSより

以下SMART NEUTRIENTSより引用

アルツハイマー病は45歳から60歳の間では滅多にない。(1000人に1人の割合)しかし、60歳をこえると増えてくる。(65歳以上の男性の4%)以前は老化のずっと前におきる病気と考えられていたが、CATスキャンなどの検査テストが発展し、正確な評価ができるようになった。早期、中期、後期に分類される。

アルツハイマー病は記銘力低下、後には様々な脳機能の低下をおこす。認知機能の低下、たとえば見た物が認識できない、時計をみても時刻がわからない、方向がわからない、時間、空間的に迷子になるなど。患者はとても依存的になり、家でも施設でも、常時見守りを必要とするようになる。

 

多くの脳の変化が認知症を進行させる。脳は萎縮する。CATスキャンでは、脳の表面(大脳皮質)が頭蓋内から消失している。特に頭の前方の方(フロント部分)が萎縮する。ニューロンは死滅する。老人斑(数百の脳内の沈着物)と神経原線維変化が出現する。プラークには高濃度のアルミニウムが含まれる。脳の広範囲にわたる代謝活性の低下が認められる。しかし、アルツハイマー病に特異的な唯一の病理所見はない。

アルツハイマー病とダウン症候群には多くの類似点がある。このことは両疾患について理解する役に立つ。ダウン症候群は21番染色体の余分な染色体による。身体および精神の変化をおこす。この染色体は亜鉛と銅を含む酸化酵素をコントロールしている。(copper zinc superoxide dismutase) 35歳以上のダウン症患者ではアルツハイマー病に似た老人性の病理学的変化が認められる。両疾患には遺伝的な関連もある。Heston(1982)は、アルツハイマー病の血縁にはダウン症患者が多いことを見出した。3044名中11名。(普通なら4.35名が予測されるところ)

 

ダウン症候群もアルツハイマー病も原因不明である。ウイルス感染、アルミニウムの蓄積、免疫異常などが推察されている。

もし両疾患に類似があるとしたら、同じ染色体の異常からおきているのかもしれない。ダウン症候群は幼少時に、アルツハイマー病は年配になって発症する。ダウン症の場合、21番染色体過剰があるので、幼少時に発症するのだろう。アルツハイマー病の場合は染色体異常がみつけにくい。しかし、以前より頻繁に見つかるようになってきている。

オーソモレキュラー療法をダウン症に適応した経験が、アルツハイマー病の治療に役立つかもしれない。ダウン症には特異的代謝異常があり、最終的に身体的・精神的問題を引き起こす。これらはオーソモレキュラー療法で改善する。同様の生化学的問題がアルツハイマー病にもあるのなら、有効ではないか。ただし、この治療は早期にはじめなければならない。老人斑や神経原線維変化が発生する前に。

 

Henry Turkel医師(1975)は40年以上にもわたりダウン症児にオーソモレキュラー療法を行い、成果をあげている。ビタミン類、ミネラル類、ホルモン類(甲状腺ホルモンを含む)を組み合わせて用いている。彼の患者は精神状態が改善し、ダウン症顔貌でなくなる。600人以上が治療をうけ、80-90%の改善率であった。以前、Turkel医師は、ホッファーに患者の母親から届いた手紙を送った。1965年に治療開始。この時、15歳の男の子のIQは55程度であった。容姿は典型的なダウン症であった。手紙は1981年1月に書かれた。

以下手紙

ジョンは、続いて元気です。昨夏はアラスカへ妹と行きました。すべて自分で稼いだお金で賄いました。私の姪が予定やルート変更の時には手伝いましたが、大体自分でマネージメントできました。ジョンは経済的にも精神的にもとても助けてくれます。すべて先生のおかげです。日々感謝が深まっています。

 

批判する人たちは、これを”anecdotal(裏づけに乏しい)”といい、二重盲検定が必要というだろう。しかし、実際に二重盲検定の結果が明らかになっても信用しなかったのである。

医学ジャーナルはTurkel医師の論文を掲載せず、無視された。Harrell, Capp, Davis, Peerless, そしてRavitzらの論文(1981)を無視することはそう簡単ではない。このグループは5人のダウン症児を含む16人で、二重盲検定試験を行った。子供達は、ビタミン類とミネラル類を与えられた。この中には、十分な量のナイアシンアミド(ビタミンB3)とピリドキシン(ビタミンB6)が含まれていた。毎日750mgのナイアシンアミドと300mgのピリドキシンを内服した。しかしながら、甲状腺ホルモンの内服を一人を除いて全員に。バーナーの方法論で、1名以外は低体温にあてはまった。乾燥甲状腺ホルモンを2名に。砂糖を減らし、フルーツと牛乳を増やした食事プログラムが開始された。この治療で有意に継続する改善がみとめられた。ダウン症児の改善が顕著であった。

 

この研究結果は無視されなかった。Smith, Spiker, Peterson, Chcchetti,Jsuticeらはこの論文に対する懐疑論をランセット誌に投稿し、攻撃した。「このようなビタミン療法・ミネラルによる治療が、多彩な病理を呈する情況に有効であるとは考えられない。」彼らは、効果が出るメカニズムがわからない以上、効果があるはずがないと考えていた。(本末転倒している!!) スミスらはハレルらの研究を追試したが、ハレルらのプロトコールを用いなかった。彼らは砂糖を減らした食事も、低体温児に対する甲状腺末の使用も行わなかった。ビタミンAは3分の1ほど少ない量で。スミスらの研究は、ハレルらの研究が誤っていた証拠とされた。「この研究によって、メガドーズビタミン+ミネラル療法はダウン症の知能を改善させないことがわかった」

不運なことに、多くの読者は不注意にも同じ結論に達してしまったかもしれない。Dr. B. RimlandとDr. Turkelはこの間違いを正そうとした。ほとんどの人は、栄養療法に関心を失っていった。日本では1964年以来、80以上の国立病院と大学病院でTurkelの治療を用いている。

オーソモレキュラー精神科医であるDr. Allan Cottは、多くのダウン症を含む発達障害児の治療を行ってきた。彼はホッファー医師に、オーソモレキュラー療法でダウン症児にドラマティックな改善がみられたことを伝えている。ホッファー医師が診療した7歳以下の児童の治療結果は大変良かった。われわれは、Dr Rimlandの結論に同意する。「TurkelとHarrelらの仕事で示された、ビタミン・ミネラル療法による発達障害児への効果は未だ否定されていない。」

我々は、この研究成果が将来確認されることを確信している。

ダウン症に栄養療法が有効であり、ダウン症が早期に老化をきたすことから、同様の治療がアルツハイマー病にも有効かもしれない。

酸化酵素(CuZn SOD)をコントロールする遺伝子は21番染色体上にある。ダウン症の人の赤血球ではCuZn SODの活性が上昇している。これはダウン症の主たる病理かもしれない。CuZn SOD活性は血小板・白血球・赤血球・線維芽細胞で50%増加している。ダウン症は抗酸化作用の低下も含めた、過剰酸化反応を来たす疾患と考えられる。Turkel、 Cottらが使ったビタミン・ミネラル類は抗酸化剤が多かった。ダウン症児の多くは甲状腺ホルモンも必要であった。サプリメントも甲状腺ホルモンがなければ効果を示さなかった。栄養療法で甲状腺機能低下症は治療できない。

アルツハイマー病が完成した状態にまで至ると、治療法がない。ホッファーは1980年初頭よりアルツハイマー病に取り組んできたが、よい成果が得られていない。どのような栄養の組み合わせにも反応しないのだ。1人か2人、アルツハイマー病の改善例があった。(改善したという評価自体もなかなか困難なのである。)

一方で、アルツハイマー病の初期であれば、目覚しい改善を示す。残念なことに、初期の患者はかかりつけ医にかかっており、ホッファーの診察を受ける頃には、すでに進行した状態であることが多かった。ホッファーは、アルツハイマー病に栄養療法は無効であると考え始めていた頃、アルツハイマー病の改善例を認めた。1985年のことである。ニュージーランドのオークランドにて。ジョンは70歳くらいで、話すことができず、市中で一人きりだった。彼はさ迷い歩き、迷子になり、もちろん助けを求めることすらできなかった。彼は以前はすばらしいゴルファーで、世界中の有名なゴフルコースでプレーしていた。以前のハンディキャップは7であった。その後、体調をくずしてから27になった。彼のケースで奇妙なのは、状態が悪くても自宅の農場からゴルフコースまで迷子にならず運転できていたことである。

ジョンはキレーション療法を開始した。6週にわたる20回のEDTAの点滴療法である。(EDTAは体内の有害金属を体外へ排出する働きがある)治療終了後1ヶ月ほどして、ホッファーはジョンと彼の妻と3人で話あいを持っている。もし、だれかがこの場に参加しても、ジョンが病気だとは気づかなかっただろう。彼の認知は正常で、思考の異常もなく、気分も正常であった。ゴルフのハンディキャップは7へ戻った。妻にはキレーション療法が夫を救ったことが明らかであった。ホッファーと妻は、また夫に症状が再発したら、キレーション療法を行うことを予定した。

ホッファーはジョンに訊ねた。「アルツハイマー病の状態はどのようだったか覚えていますか?」ジョンは何も覚えていなかった。キレーション療法の途中から目覚めてきたのだという。実際の所、アルツハイマー病は眠っているような状態である。これが精神兆候の説明となる。眠っている間に生活することを想像してみてほしい。アルツハイマー病は夢や悪夢の中にいるようなものだろうか?夢の中では認知は困難で、理解力も発揮できない。思考は完全に非論理的で考えられない。気分も不適切である。アルツハイマー病の脳は、酸素不足で眠っているのだろうか?もしそうならば、我々はどうやって脳細胞の好気的酸化反応を回復させるか考えなければならない。

アルツハイマー病患者自身に話を聞くのが一番よいのだが、改善した者が他にはいない。Dr.Edwin Boyleは医学研究者であり、高圧酸素療法で治療した患者にインタビューを行い、同様の結果を得ている。しかし、記録されていないので、我々は知ることができない。

一人の改善症例によって、治療法が確立するものではない。しかし、希望の光を与えることができる。ハンチントン舞踏病の改善例のように。我々は多くの患者に同様の治療を試み、この患者がいわゆる”まぐれ”だったのか確認しなければならない。あるいは、アルツハイマー病の中にキレーション療法が有効なサブクラスが存在するのかどうかを。前アルツハイマー病状態の患者にはオーソモレキュラー療法に加え、特に抗酸化療法を行いたい。甲状腺機能低下症の症状があれば、甲状腺ホルモンを用いる。全てのアルツハイマー病患者に1つの治療があてはまることは無いだろう。あらゆる方法が必要だろう。

 

 

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