ペラグラとはどんな病気か? 再掲

2017年4月29日ペラグラとはどんな病気か?

統合失調症は、潜在性ペラグラである」と藤川先生は言われてます。
でも、ペラグラってなに? 私は見たことがありません。

内科学会雑誌にペラグラの症例報告がありました。この方はアルコール中毒ではないようです。
(日本でのペラグラの報告は数十例とまれ。アルコール多飲の報告が多い。)
そのかわり、異常に糖質を偏食していたようです

精神的な問題で、若い頃から苦しまれていました。

以下引用 日本内科学会雑誌 106巻4号
ペラグラの1症例   八幡 芳和 他

要旨

ペラグラは3D(dementia, daiarrhea, dermatitis)と表現され、主としてビタミンの一種であるナイアシンの欠乏により発症する疾患で、食糧事情の改善された現在では極めて稀な病態だが、本症例は単純糖質を主とした特殊な偏食による状態で発症した。
診断、治療には精神神経症状や消化器症状など全身的な代謝障害の1つに、本症名称の皮膚科疾患が位置づけられていることの認識が重要である。

始めに
ペラグラは、皮膚症状を伴う多彩な消化器や神経症状を呈する複合性ビタミン欠乏性の慢性疾患である。VB3ともいわれるナイアシン(ニコチン酸・ニコチン酸アミド)が主に不足しての病態である。
語源的にはイタリア語でpelle(skin), agra(rough)としてざらざらした皮膚を意味し、とうもろこしを主食とするイタリアの貧民に認められ、報告された。

日本ではアルコール依存症に伴う貧しい食生活での症例が多いが、本症例では精神的家庭的な事情から、一人暮らしでさらに単純糖質を主とした特殊な嗜好形態の偏食が持続していたことからの発症で、極めて興味深く、若干の考察を加えて報告する。

症例
患者 41歳。男性。会社員。 主訴 体重減少、脱力、寝たきり、全身皮疹、せん妄、幻覚、意欲減退。
既往歴 学生時代に自律神経失調症といわれた。

また、27歳頃、家族内不和にて精神的カウンセリングを受けたことがあるが、いずれも詳細不明。

生活歴 地元から都会の文系大学に進学。一人暮らしが始まり、喫煙、飲酒をしない生活から偏食(砂糖、甘いジュースなどを極めて好む)傾向となった。 卒後帰省し、会社に就職後は事務関係の臨時職として仕事をしたが、実家には帰らず、会社の寮に居住した。

現病歴 20XX年夏、就職後も同様に家人との協調性の乏しさから、偶然寮に訪れた家人が、全身の皮疹や無気力、力が入らない、また、意識障害として時々不穏発作や異様なものが見えるなどの幻覚症状など状態不良に気づき、近医皮膚科を受診させた。

アトピー性皮膚炎として、プレドニゾロン20mg/日を開始するもさらに悪化。 入院となる。

中略
(入院後、全身状態不良で76日目に死亡。)