日光と上手に付き合おう

メディカルトリビューン誌2018年8月2日号より引用

近畿大学奈良病院皮膚科教授 同大学アンチエイジングセンター副センター長 山田秀和医師

日光、あるいは光環境は、皮膚だけでなく全身の健康にも影響を及ぼす。日光を積極的に浴びる女性は、日光を避ける女性に比べて心血管疾患および非癌死/非心血管疾患死のリスクが低いことがスウェーデンの前向きコホート研究で示されている。日照時間の長い夏は、他の季節に比べて夜間に急性心筋梗塞を発症する人が多かったとする国際共同研究もある。明るい光への暴露は薄暗い光への暴露に比べ、インスリン抵抗性を増大させるなど、光が代謝に影響を及ぼす可能性を示唆する検討結果も見られる。

さらに、ビタミンD量をコントロールする紫外線の重要性を認識しておくべきだと山田氏は強調する。生体に必要なビタミンDの約90%が皮膚を介したUVBの作用で生成されると考えられており、日光への暴露不足はビタミンD欠乏を招く。ビタミンD欠乏はさまざまながん、骨代謝、自己免疫疾患、感染症、皮膚炎、循環器疾患に関連するという

高齢者では皮膚におけるビタミンD合成能が低下することが分かっている。高齢化率が上昇し続ける現代社会において「ビタミンD内服を含め、適切なビタミンDの状態を維持する、バランスの取れた紫外線対策が、今後さらに重要となるだろう」と同氏は指摘した。