「結局は、人なのだ」

山崎力先生の著述。医療研究および医療統計の勉強になります。

「医療統計ライブスタイル」も名著だと思います。

統計にだまされる。メガスタディ(メバロチンによる女性の虚血性心疾患一次予防)の問題点 – 伊藤内科医院 (itonaika.in)

大村益次郎の記事があり、大変興味深かったです。ちなみに、昨年、初めて靖国神社へ行ったとき、巨大な大村益次郎に出会いました。

以下引用

人を育てる大切さ

「医理」

ということばで、蔵六たちの先輩である蘭方医杉田玄白は病理・生理・解剖といった基礎学問を概括している。

「医理」に詳しければ、治療ができるのか」

と、玄白が「形影夜話」に書いているのを蔵六は読んだことがある。

「否」

と、玄白はこの設問を否定した。医理にいかに詳しくても臨床はできない。それはちょうど馬術の本だけを読んで馬を御そうとするようなものだ、と玄白はいう。しかしながら逆に医理を知らない臨床家は信用できない、とも玄白はいう。玄白は、これを戦争にたとえている。「孫子」や「呉子」は戦争の理論書であるが、これを知らずにただ経験だけで敵とたたかう戦闘指揮官はたとえ勝利を得ることがあっても、きわめてあぶない勝利である、という。蔵六はかつてこれを読んで、

「結局は、人なのだ」

という結論に達した。

ー「花神」司馬遼太郎より

蔵六は緒方洪庵の適塾で学んだ医師で、日本近代軍制の創始者ともされる大村益次郎の若き日の姿だ。