LDLコレステロール値は危険因子ではない・・・秋田大学の研究報告 最大の危険因子はHDL-1が減ること

https://research-er.jp/articles/view/121275 より

脳卒中患者数189名を、コントロール群と比較している(後ろ向き研究)。スタチンには有効性が認められず。

  • 動脈硬化症はガンに次いで人間の死因の多くを占める病気ですが、その重要な原因のひとつは、アテローム(脂質と繊維質・細胞の死骸のかたまり)が蓄積することです。アテローム形成は食生活と密接な関係があるため、血液中で脂質を運搬する種々のリポタンパク質、とくにLDL・悪玉コレステロールがその要因であろうと考えられてきましたが、大規模な疫学調査でも確証が得られていませんでした。
  • 検診などで、リポタンパク質は酵素を使う簡単な方法で測定されています。これは一部のタンパク質だけを可溶化させて反応させる方法で、ずっと生化学で使われてきた超遠心法と同様の結果が得られるように調整したものです。ところが、この方法ではLDLやHDL・善玉コレステロールの正確な値がわからないことが明らかになっていました。超遠心法が間違っていたのです。(小西准教授ら2022年。https://doi.org/10.1371/journal.pone.0275066)
  • 今回、救急搬送された患者さんたちの同意を得て、その血清をゲルろ過HPLCという精密な方法で調べました。すると患者さんたちと、健康な方との間に大きな違いがあることがわかりました。これは、現在使用されている測定方法では分からない差でした。
  • 最も大きな危険要因はHDL1が減ること、およびLAC1とLp(a)が増加することでした。長い間、悪玉コレステロールだと考えられてきたLDLには、むしろほとんど危険性がありませんでした。スタチンはLDLの値を下げますが、これには動脈硬化を避ける効果は期待できないことになります。

Conclusion
Although this was a retrospective study that compared stroke patients with controls, the factors found may indicate the conditions and therefore should be targeted in future prospective cohort studies. The most frequently observed risk factor was decreased HDL1, followed by increased LAC1 and TG levels in LDL1; statins did not appear to be effective against these factors. The enzymatic methods failed to separate patients, and the currently used guidelines for medical treatment need to be re-examined. Although healthy elderly volunteers showed some signs of risk, they had other remarkable characteristics: TG-rich CM and higher TR. This suggests that there was less meat and sugars in the diet. Free glycerol represented the risk well, clearly separating patients. Glycerol can be measured easily and should thus be used to identify people at potential risk.